ラーメン屋が味にこだわるわけ
更新日:
カフェを開くためのメニュー作り。
ラーメン屋は自分の店のラーメンを徹底的に研究する人が多いらしい。
テレビのラーメン屋特集でもたいていの場合、店主の猛烈な研究成果が注目を集める。
曰く三年かかって作り上げた味。
全国を食べ回って見つけた味。
しかしそれは当たり前の話である。
なぜかというと、ラーメンはラーメン屋に入ったほとんどの人が頼むメニューだからである。
ラーメン屋に入る人はラーメンを食べたい人がほとんどで、だからみんなラーメンを頼むわけである。
そしてそのラーメンの味でまた来ようと思ったり、二度と来るかと思ったりするわけだから、そりゃあんた研究せずにはおれないでしょうが。
一方カフェ開業を目指しているオーナーは、なぜか看板メニューの開発に余念がなかったりする。
ラーメン屋の店主同様に自分の店の味作りにこだわったりする。
しかしそれはラーメン屋の店主の努力とは違って、全く集客力につながらない事が多い。
理由は簡単で誰もそのメニューを頼んでくれないからである。
この二人の店主の行動は同じようでいて、実は全然違う努力になっている。
ありふれたメニューにこそ、こだわれ
ラーメン店の店主が力を入れている商品は、ラーメンというありふれたメニューなのである。
ありふれたメニューをもっと美味しくしよう、もっとお客さんに喜んでもらおう。
そのための努力がラーメン店店主の努力なのである。
ところがカフェを開業しようとしているオーナーが、開発に力を入れているメニューは、ありふれたメニューではない場合が多い。
「看板メニュー」という名の特別なメニューで、ありふれたメニューではないことがほとんどだろう。
しかし初めて入ったカフェでその「看板メニュー」とやらは、果たしてどのくらい注文されるものなのか?注文されるかどうか分からない商品に対して、いくら努力をしても仕方ないだろう。
カフェを開業するために目玉商品を開発したい気持ちはよく分かるが、そのメニューがいくら美味しくてもありふれたメニューがマズければ、どうしようもない。
イタリア料理チェーンのサイゼリアなど新しいメニューの開発はあまりせず、既存メニューの向上に力を入れているそうだが、それが実は正しい努力の方向だったりするのだ。
奇抜なメニューは注文する人も少ないし飽きられるのも速い。
カフェを開業して永く営業を続けたいのであれば、ありふれたメニューをいかに美味しくできるか、いかにスマートに提供できるか、そしていかに満足してもらうか、そちらの方に力を注ぐべきだろう。
ありふれたメニューこそ万人が望むメニューなのである。